
SBI証券と松井証券は、それぞれ異なるメリットを持ったネット証券です。どちらも5大ネット証券のひとつに数えられ、さまざまな投資家に支持されています。どちらで口座を開設すべきか迷ったときは、手数料や取扱銘柄といった項目ごとの特徴を比較してみましょう。同時に、自分が証券会社に求めていることや、重視するポイントを考えることも大切です。本記事では、SBI証券と松井証券の特徴を13項目で比較し、それぞれの証券会社に向いている人の特徴を解説します。
目次
- SBI証券と松井証券の比較1 口座開設数
- SBI証券と松井証券の比較2 国内株式の取引手数料
- SBI証券と松井証券の比較3 取り扱う外国株式の種類
- SBI証券と松井証券の比較4 米国株式の取扱銘柄数
- SBI証券と松井証券の比較5 投資信託の取扱銘柄数
- SBI証券と松井証券の比較6 NISAの取扱銘柄数
- SBI証券と松井証券の比較7 iDeCoの取扱銘柄数
- SBI証券と松井証券の比較8 IPOの取扱数
- SBI証券と松井証券の比較9 貯められるポイントの種類
- SBI証券と松井証券の比較10 クレカ積立制度
- SBI証券と松井証券の比較11 投資信託の残高に対するポイント制度
- SBI証券と松井証券の比較12 ポイント投資の対象
- SBI証券と松井証券の比較13 顧客サポート
- SBI証券に向いている人
- 松井証券に向いている人
- SBI証券と松井証券の特徴を踏まえて証券会社を選ぼう
SBI証券と松井証券の比較1 口座開設数
口座開設数の多い証券会社は、シェアが大きく、多くのユーザーから指示されているといえます。口座開設数については、SBI証券が松井証券を上回っています。<口座開設数>
・SBI証券:1,245万2,000口座・松井証券:155万128口座※株式会社SBI証券「決算説明資料~ 2024年3月期 通期 ~」(2024年5月10日)。口座数には、2019年4月末以降SBIネオモバイル証券(2024年1月9日、SBI証券と合併)の口座数、2020年10月末以降SBIネオトレード証券の口座数、2021年8月末以降FOLIO口座数を含む。※松井証券株式会社「2024年3月期決算報告資料」(2024年4月25日)SBI証券はグループ全体を集計した数値ですが、松井証券の8倍以上の口座数です。とはいえ、松井証券でも150万以上の口座が開設されているため、両社ともそれだけ多くの顧客に支持されているといえるでしょう。
SBI証券と松井証券の比較2 国内株式の取引手数料
国内株式の取引手数料は、SBI証券も松井証券も一定の要件を満たすことで無料になります。手数料が高いとそれだけ利益も減るため、自分が利用しやすい手数料プランがあるかを比較することが重要です。SBI証券で国内株式の手数料が無料になるのは、取引コースについてインターネットコースを選び、下記3点の報告書を電子交付に切り替えて、インターネット取引をした場合です。<SBI証券で電子交付に切り替えると手数料が無料になる報告書>
・円貨建ての取引・米国株式信用取引の各種報告書・米国株式信用取引を除く外貨建て取引の各種報告書・特定口座年間取引報告書交付方法の変更手続きは画面上で簡単に行えるため、それほどハードルは高くありません。松井証券は、25歳以下であれば全員が無条件で手数料無料になります。年齢以外に条件がない分、若年者にとってはSBI証券よりも利用しやすい料金体系です。では、無料条件を満たさない場合の手数料は、それぞれどのように設定されているのでしょうか。
SBI証券には、1日の約定代金に応じて手数料が決まるプランと1回の約定代金に応じて手数料が決まるプランの2つのプランがあり、任意で選択できる一方、松井証券は1日の約定代金に応じて手数料が決まるプランのみです。それぞれ、下記のような手数料が設定されています。
■1日の約定代金に応じて手数料が決まるプラン
約定代金 | SBI証券の手数料(アクティブプラン、税込み) | 松井証券の手数料(税込み) |
50万円まで | 無料 | 無料 |
100万円まで | 無料 | 1,100円 |
200万円まで | 1,238円 | 2,200円 |
300万円まで | 1,691円 | 以降、100万円増えるごとに1,100円ずつ加算(上限11万円) |
以降100万円ごと | 295円ずつ加算 |
■1回の約定代金に応じて手数料が決まるプラン
約定代金 | SBI証券の手数料(スタンダードプラン、税込み) | 松井証券 |
5万円まで | 55円 | プランの提供なし |
10万円まで | 99円 | |
20万円まで | 115円 | |
50万円まで | 275円 | |
100万円まで | 535円 | |
150万円まで | 640円 | |
3,000万円まで | 1,013円 | |
3,000万円超 | 1,070円 |
比較ができる、1日の利用代金に応じて手数料が決まるプランでは、SBI証券のほうが低い手数料で取引が可能です。ただし、松井証券には手数料の上限が定められていますが、SBI証券には上限がありません。・ネット証券 国内株式 オリコン顧客満足度ランキング
SBI証券と松井証券の比較3 取り扱う外国株式の種類
SBI証券と松井証券では、どちらも外国株式への投資が可能です。それぞれ、下記の国の株式を取り扱っています。<取り扱っている外国株式の種類>
・SBI証券:アメリカ、中国、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア・松井証券:アメリカSBI証券は9ヵ国の株式に投資ができますが、松井証券は米国株式にしか対応していません。
なお、米国株式に関しては、SBI証券も松井証券も専用のアプリを用意しており、手軽に投資ができる環境が整えられています。
SBI証券と松井証券の比較4 米国株式の取扱銘柄数

SBI証券と松井証券の米国普通株式の取扱銘柄数は、SBI証券のほうが豊富です(2024年5月23日時点)。<米国株式の取扱銘柄数>
・SBI証券:4,451銘柄・松井証券:3,518銘柄SBI証券であれば、より幅広い対象から投資先を選ぶことが可能です。
SBI証券と松井証券の比較5 投資信託の取扱銘柄数
SBI証券と松井証券では、SBI証券のほうが幅広い種類の投資信託を取り扱っています(2024年5月23日時点)。<投資信託の取扱銘柄数>
・SBI証券:2,567銘柄・松井証券:1,882銘柄SBI証券も松井証券も、資金流入、トータルリターンといった項目別のリストや、条件を指定できる検索機能などを公開しているため、投資信託を選ぶ際の参考にすることが可能です。
SBI証券と松井証券の比較6 NISAの取扱銘柄数
SBI証券と松井証券のNISAで投資できる投資信託の銘柄数については、つみたて投資枠と成長投資枠で両社の強みが異なります(2024年5月23日時点)。<NISAのつみたて投資枠の取扱銘柄数>
・SBI証券:225銘柄・松井証券:230銘柄<NISAの成長投資枠の取扱銘柄数>
・SBI証券:1,200銘柄
・松井証券:1,102銘柄つみたて投資枠は同数程度で、成長投資枠はSBI証券が上回っています。NISA口座の証券会社は1人1社しか選べず、変更も年に1度しかできないため、投資したい商品の選択肢が多く使いやすい証券会社を選んで口座を開設しましょう。
SBI証券と松井証券の比較7 iDeCoの取扱銘柄数
SBI証券と松井証券が取り扱うiDeCoの取扱銘柄数については、SBI証券のほうが豊富です(2024年5月23日時点)。<iDeCoの取扱銘柄数>
・SBI証券:83銘柄(元本変動型)+4銘柄(元本確保型)・松井証券:39銘柄(元本変動型)+1銘柄(元本確保型)iDeCoの取扱銘柄数は、SBI証券が松井証券の倍以上の数値となっています。投資先に迷う投資家のために、SBI証券は信託報酬率や商品の特徴を一覧で提示し、松井証券は取扱商品一覧の中で細かい選定理由を紹介しています。
なお、元本保証型で年金保険の商品は、SBI証券でなければ選択できません。
SBI証券と松井証券の比較8 IPOの取扱数

SBI証券と松井証券のIPO(Initial Public Offering:新規公開株式)については、2023年の取扱数の実績は、SBI証券が上回っています。<IPOの取扱数(2023年)>
・SBI証券:91社
・松井証券:70社また、SBI証券のIPOにはIPOチャレンジポイントという制度があります。この制度は、IPOの抽選に外れた回数に応じてポイントが貯まり、次回以降のIPO申込み時にポイントを利用すると当選確率がアップする制度です。一方、松井証券のIPOには、抽選申込みの時点で購入資金の事前入金が不要という特徴があります。SBI証券では抽選時点で応募した金額以上の買付余力がないと抽選対象外になってしまいますが、松井証券は当選が確定してから入金すればいいため、気軽に抽選に参加しやすいでしょう。
SBI証券と松井証券の比較9 貯められるポイントの種類
SBI証券と松井証券では、利用状況に応じて下記のポイントが付与されます。<貯められるポイントの種類>
・SBI証券:Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALマイル、PayPayポイント・松井証券:松井証券ポイントSBI証券では、複数のポイントから好きなポイントを選んで貯められます。
一方、松井証券で貯められる松井証券ポイントは、松井証券独自のポイントです。とはいえ、PayPayポイントやdポイントに交換できるほか、Amazonギフトカードや商品との交換も可能なため、使い道に困ることはないでしょう。
SBI証券と松井証券の比較10 クレカ積立制度
SBI証券は、三井住友カードやタカシマヤカードなどで投資信託のクレカ積立をするとクレジットカードのポイントを取得することが可能です。一方、松井証券ではクレカ積立制度がありません。投資信託を積立形式で購入することはできますが、現金決済になります。SBI証券でクレカ積立をした場合、2024年10月買付分までは0.5~5%、11月買付分以降は0~3%のクレジットカードのポイントを取得できます。松井証券には「MATSUI SECURITIES CARD」という提携カードはありますがクレカ積立には対応しておらず、証券投資に関連するメリットは、ショッピング利用で貯めたポイントを投資に利用できる点のみです。
SBI証券と松井証券の比較11 投資信託の残高に対するポイント制度
SBI証券と松井証券は、投資信託の保有残高に応じたポイント付与制度を導入しています。それぞれのポイントは、下記の計算式に応じて算出されます。<投資信託の残高に対する1ヵ月あたりの付与ポイントの計算方法>
・SBI証券:(月間平均保有金額×投資信託ごとに定められたポイント付与率)÷365日×ポイント付与対象月の実日数・松井証券:(月間平均保有金額×投資信託ごとに定められたポイント付与率)÷12SBI証券は1日あたりの付与ポイントを計算してから1ヵ月の実日数をもとに付与ポイントを算出し、松井証券は1ヵ月あたりの付与ポイントを算出するという違いはありますが、実質的には計算方法はほとんど変わりません。一方、投資信託ごとに定められたポイント還元率は、SBI証券と松井証券で異なります。SBI証券のポイント付与率は基本的には0.0175~0.15%が設定されていて、一部銘柄については月間平均保有金額1,000万円以上で0.2%または0.25%になるなど還元率が高くなります。
松井証券のポイント還元率は、0.01~0.97%です。ただし、銘柄によってはSBI証券と松井証券のポイント付与率がそれほど変わらないものもあります。購入を希望している投資信託のポイント付与率を確認して検討しましょう。
なお、松井証券で投資信託残高へのポイント付与サービスを利用するためには、毎月所定のフォームからエントリーしなければいけません。SBI証券は、エントリー不要です。
SBI証券と松井証券の比較12 ポイント投資の対象

SBI証券と松井証券は、貯まったポイントを1ポイント1円に換算して投資に使えます。ただし、SBI証券で貯められるポイントのうち、投資に使えるのはVポイントとPontaポイントのみです。ポイント投資では、それぞれ下記のような投資商品を購入できます。<ポイントで購入できる投資商品>
・SBI証券:投資信託(積立・スポット購入)、国内株式(現物株式、単元未満株)・松井証券:投資信託(積立)SBI証券のほうが、選択できる商品の幅は広くなっています。松井証券では、貯まったポイントを自動的に投資信託の積立購入に利用するという設定のみが可能です。投資できる商品も、SBI証券では取り扱われている投資信託すべてが対象ですが、松井証券では、下記の3つの投資信託に限られます。<松井証券のポイント投資の対象銘柄>
・ひふみプラス・eMAXIS Slim 先進国株式インデックス・eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
SBI証券と松井証券の比較13 顧客サポート
SBI証券と松井証券は、どちらも下記のような問い合わせ窓口で、操作方法や手続きなどに関する問い合わせが可能です。<問い合わせ窓口の種類>
・SBI証券:電話、チャット、お問い合わせフォーム
・松井証券:電話、チャット、お問い合わせフォームSBI証券のインターネットコースでは、投資商品の選び方に関する無料相談には対応していません。インターネットコースとは、投資相談を利用せずにインターネット上で取引を行う通常のコースです。インターネットコースではなく、下記のコースを選んだ場合は投資相談が可能ですが、インターネットコースの手数料は適用されずに手数料が上がってしまうため、実質有料でのサポートといえるでしょう。<SBI証券の投資相談が可能なコース>
・ダイレクトコース:電話での投資相談が可能で、SBIマネープラザで申込み。担当者は原則つかない。・IFAコース:電話などでの投資相談が可能で、指定の金融商品仲介業者に申込み。担当者は原則つかない。・IFAコース(プランA):電話や訪問での相談が可能で、指定の金融商品仲介業者に申込み。担当者がつく。
・対面コース:対面での相談が可能で、SBIマネープラザで申込み。担当者がつく。一方、松井証券では、株の取引相談窓口を無料で利用できます。インターネットで予約をする必要はありますが、銘柄の探し方や取引のタイミングといった具体的な相談が可能です。
SBI証券に向いている人

取扱商品の種類や取扱銘柄数が豊富なSBI証券は、多くの銘柄から投資先を選びたい人に適しています。また、SBI証券は国内株式の取引手数料を抑えたい人にも向いています。SBI証券の国内株式手数料は、簡単な手続きでクリアできる条件を満たせば無料になります。少しでもコストを抑えて株式投資をしたい人は、利用を検討してみましょう。
IPOについても、SBI証券は過去の取扱実績が豊富で、チャレンジポイント制度もあるため、IPO投資のための口座開設先としてSBI証券は有力な選択肢となります。さまざまなシーンでメリットを得られる証券会社であるため、ほかの証券会社の口座と併用するといった使い方もできるでしょう。
- SBI証券の公式サイトへ(口座開設はこちら)
松井証券に向いている人
松井証券は、ネット証券会社のメリットを得ながら手厚いサポートを受けたい人に適しています。株式の銘柄選びといった具体的な相談が無料でできる点は、松井証券の大きな特徴です。投資の知識が少ない人でも、利用しやすいでしょう。また、投資信託保有で貯められるポイントの付与率が、銘柄によってはSBI証券よりも高めの数値が設定されているため、投資信託を長期的に保有する予定の人にもおすすめです。
松井証券では、移管手数料を負担してくれるサービスも行っているため、すでに多くの投資信託を保有していて、松井証券の高いポイント付与率を活用したい場合は、移管を検討してみるのもいいかもしれません。
SBI証券と松井証券の特徴を踏まえて証券会社を選ぼう
SBI証券は取扱銘柄数や手数料、松井証券は手厚いサポートと、それぞれ強みが異なります。どちらを使えば良いか迷ったときは特徴を比較して、どちらにより魅力を感じるかを考えてください。オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年「ネット証券会社 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。取引手数料や取引のしやすさのほか、分析ツールの使いやすさなど、さまざまな視点でネット証券会社を比較検討できますので、ぜひ参考にしてください。